天国と地獄
 

2022年10月5日更新

第206回 激動の日本を救うにはどうしたらよいのか

これまで月に2回、このコラムを更新してきましたが、
最近多忙なこともあり、誠に恐縮ですが
これからは月に1回の頻度で更新してまいります。
なお、今回のコラムから「新シリーズ」ということで、
心機一転して内容をお伝えします。
すでに以前のコラムでお伝えしてきた内容と、重なる部分も出てくるかもしれませんが、
ご承知の上でお読みいただければ幸いです。

新シリーズの内容は、私が高校生の頃からずっと考えてきたことです。
それは、この“日本”という国についてです。
この日本という国は、私たちにとってかけがえのない祖国です。
ウクライナを見てもわかる通り、他の国に攻められ、
逃げなければいけないといった究極の事態に陥った時、
いかに自分の国がありがたいものかということがわかります。

たとえば、私たちが持っている日本という国のパスポートは、
世界で一番通用するパスポートだと言われています。
北朝鮮など一部の国・地域以外でしたらほぼビザも要らずどこにでも行けます。
世界で一番、信用のあるパスポートなのです。

日本は戦後、あの焼け野原から立ち直り、世界中からの信用を得て、
そして貿易で外貨も稼ぎ、世界一豊かな国になりました。
しかし、それはもう30年も前の話です。
今や、財政はボロボロ、成長戦略はなく、
そして国民全員ではありませんが、
生き甲斐がない人、幸せを感じられない人が増えています。
老後はどうしたらよいのか、などという不安が至るところで渦巻いています。
そういった大きな不安からか、若者は老後の生活を気にして貯金ばかりしている、
そんな国になってしまいました。

もちろん、全く希望がないわけではありません。
ただ、日本人は私も含めて少したるんでいる、と思うのです。
どんな歴史を見てもわかるのですが、組織も国家も30年くらい経つと大抵古びてしまいます。
40年も経てば全く古びてしまう。ましてや80年、100年経ったらなおさらです。
ですから、本来でしたらそこで大改革をしなくてはいけないのです。

私が言いたいことは、今この日本において国民一人ひとりが
「この国はこのままだとダメなんだ」「勇気を持ってこの国を変えなければいけないんだ」、
つまり「革命的な大改革をしなければいけないんだ」という気持ちを持ち、
それを実行に移さなければいけないということです。

そうでなければ、この国はまず財政面で、つまり国の借金で押し潰されてしまいます。
あと10年以内には行き詰まると、私は見ています。
私たちが選べる道は、二つに一つです。
それまでに国民が気付き、自らの力で改革するか、
もう一つは、“ガラガラポン”とよく言いますが、
財政が破綻しハイパーインフレが来て国がまさに崩壊し、
私たちの預貯金もなくなり、老後のための年金もほとんど減らされ、
そこで初めて気付いて大改革をせざるを得なくなるのか、
そのどちらかしかないと私は見ています。

この新シリーズでは、歴史の大きな流れ、
「800年周期」や「覇権の移行」「80年周期」などについて語りながら、
「2%問題」や「0.25%問題」という直近の問題についてもお話しして行きたいと思います。

これを読まれている人の中には、
「一体、何の話だろう?」と思う方もいるでしょうが、
これは私たちの運命を左右する大変な問題で、
この深刻さに気付いているのは日銀の一部の人と財務省の一部の人、
また日本の財政に興味を持って勉強しているほんの一部の人で、
国民でいえば0.1%、1000人に1人いるかいないかです。

しかし、これは日経新聞にはきちんと記事になって情報が出ていることです。
今から20数年前、私は日本全国を講演行脚していました。
全国の商工会議所、青年会議所から講演依頼が殺到し、
大都市から田舎まであらゆるところに行って講演をしていたのです。
その時、講演に参加されるのは中小企業の経営者が中心でした。

そこで、彼らに「日経新聞を読んでいますか?」と聞いてみると、
読んでいる人は全体の1割もいませんでした。
経営者ですらそうなのですから、一般の人が日経新聞など読まないし、
また読んだとしてもそのような記事は難しくて意味がわからないのです。
「指値オペ」や「日銀の当座預金」などと書いてあっても、
一体、何のことか意味がわからないことでしょう。

そのような問題も含めて、
今回は新シリーズとして激動の日本を救うにはどうしたらよいのか、
あるいは私たちが生き残るにはどうしたらよいのかというテーマで、
これから毎月1回のペースでいろいろな問題を皆さんに提示し、
一緒に考えて行きたいと思います。

先ほど、難しい問題をわかっているのは、1000人に1人しかいないと申しましたが、
ただ、逆に言うとそれで十分なのかもしれません。
明治維新の時、一般の庶民は維新に参加したのかと考えると実は全く参加しておらず、
問題意識すら持っていませんでした。
あの時は、多くの志士が死んで行きましたが、西郷隆盛、坂本龍馬、大久保利通、
吉田松陰など、本当に中枢となって国を動かしたのは100人か200人ではないでしょうか。
当時、日本には3000万人ほど人口がいたと思いますが、
歴史を動かしたのはその中のせいぜい1000人程度です。
そう思うとすごいことです。
3万分の1くらいの人たちが動いて、新しい時代が創られたのです。

ですから、少数精鋭で一部の人たちが動くだけでも世の中は変わります。
ただ、彼らは命を懸けていました。
新選組が跋扈している京都に、殺されることを覚悟で乗り込んで行ったのですから。
今の日本人には、とうてい持ち合わせていない気概です。

改革を起こすことは、本当に大変なことです。
しかし、誰かがやるしかありません。私は、できると信じています。

講演会で多くの方々と触れ合うことは、私にとって気付きにもなる。
志ある人々で日本を変えることは、明治維新同様、可能なのだと信じている。
(2022年6月 札幌にて)