天国と地獄
 

2026年6月5日更新

第278回 世界の力関係の変化と日本の金利の高騰

皆さんこんにちは。浅井隆です。
本当に激動の時代に入ってきました。
ベネズエラに続いてイランへの攻撃から2ヵ月以上経ちましたが、ホルムズ海峡は封鎖されたままです。
いつかは解消されるのでしょうが、これがあと1ヵ月続くと大変なことになります。
現在、原油だけではなく、ナフサにも供給懸念があります。
また、あの地域ではアルミニウムや肥料の原料となる尿素などを大量に作っています。
それらが届かなければ、インフレが進み物価上昇、そしていろいろなものの供給がストップします。
最悪、食料危機という大変なパニックになるわけです。

ここで、激動の時代を大きな歴史の流れで見てみます。
私が前から申し上げている「800年周期」です。
800年周期とは、東洋と西洋が800年毎に逆転しながら歴史が進むという、
村山節先生がかつて発見した大変な学説です。
この学説では、東洋と西洋が逆転してぶつかる(交差点)あたりの100年間は、
文明の消滅、帝国の崩壊、それから巨大戦争、民族大移動、天変地異、
これらが連なって現れる大変な時代になっているのです。
そして、ちょうど今まさに西洋が没落しつつあり、東洋が出てくる交差点にいる状態で、
さらに「覇権の移行期」にもあたります。
覇権が移行する時期は、いわば「世界の警察官」がいなくなるわけですから、
世界中が勝手なことをする大変な時代となります。

この800年周期を軸にヨーロッパを見ますと、まず十字軍戦争の戦利品を持ち帰り、
それにより文明や情報が西洋に伝わります。
これがイスラム地域からベネチアへの巨大な貿易航路になります。
そして東洋の時代が終わり、イスラムからイタリアに東洋の影響が入り、ルネサンスが始まるのです。
ベネチアとフィレンツェとジェノバ、フィレンツェには銀行ができ、
ジェノバは反対側の港として機能します。
この3つが重なって巨大な富を集め、ルネサンスが開花します。

それを見ていたスペインやポルトガルが、「あいつらだけに儲けさせてたまるか」と、別の航路を探しました。
西へ行けば必ずインドに着くと考えたコロンブスは、西に向かいアメリカ大陸を発見しました。
最初は大陸ではなく小さな島を見つけ、そこにいた先住民の肌が黒かったため
インド人だと思い込み、「インディアン」という名前を付けたわけです。
ポルトガルやスペインは世界中に商船団と軍艦を派遣し、交易だけでなく植民地化していきます。
その後、スペインの植民地であったオランダ、次はオランダと同盟関係にあるイギリス、
最後にアメリカへと覇権が移り行きます。これが、800年間のヨーロッパの力の流れです。

そして今、アメリカが徐々に衰えつつあります。
次は中国なのかインドなのかわかりませんが、東洋の国が覇権を握る可能性があります。
ただ、今回の覇権の移行は800年周期の交差点にあたる箇所ですから、そう簡単には行きません。
前回の覇権の移行はイギリスからアメリカで、同じような民族、言語や文化、考え方が非常に近い国同士でした。
しかし今回は、全く性質が違います。
アメリカの次がどこかわかりませんが、いずれにしても現在は
「800年周期」と「覇権の移行」が重なる、とんでもない時代なのです。

今回、トランプがベネズエラとイランに手を出しました。
現状は私はまだ序の口と考えており、今後最悪の場合、第三次世界大戦が起きても不思議ではないでしょう。
その私の考えについては、最近発刊した『第3次世界大戦はすでに始まっている!? 〈上〉〈下〉』(第二海援隊刊)に
余すところなく記載しています。是非、お読みいただきたいと思います。

さて、このままホルムズ海峡が1ヵ月封鎖されたままだったらどうなるのでしょうか。
原油、LNG(液化天然ガス)、ナフサなど、さまざまな素材が不足します。
原油からできているプラスチックや包装フィルム、合成繊維、ゴム製品なども供給が減っています。
アルミニウムもそうですし、肥料の原料もそうです。
というわけで、これからインフレ圧力はさらに高まり、物価が上がり、金利も上がってくるのです。

つい最近、日本の借金のメインである「10年債の金利」が2.5%を超えました。
これは、1年半前ならあり得ない数字です。
私が半年前に財務省の人と話したとき、「(金利は)2.5%は超えますよ」と言ったところ、
「冗談じゃない。そんなことはあり得ない!」と言われました。
それほど2.5%は危険水準なのです。しかし、実際に半年後には超えてしまいました。

最近、財務省がとんでもないシミュレーションを発表しました。
日本国債は9分の1ずつ約9年かけて新しい金利に置き換わります。
このまま金利が上昇すると、9年後の2035年度には、
利払いだけで年45兆円に達するという試算を発表したのです。
さらに、償還費もあります。現在、毎年15兆円くらい償還していますが、
それが20兆円以上になると国債費は利払い金と償還費だけで合計で65兆円規模になります。
現在の税収が85兆円ちょっとで、仮に100兆円になったとしても税収の3分の2が国債費に消えることになります。
まさに、国家破綻状態が近づいている状況と言えます。
しかも、大きな天災や台湾有事が重なれば、とんでもない出費が発生し、一瞬にして破綻するでしょう。

ぜひ、私の著書『第3次世界大戦はすでに始まっている!?〈上〉〈下〉』
それから『老後資金サバイバル読本』をお読みいただき、国家破産への対策を考えていただきたいと思います。


「800年周期」そして「覇権の移行」の示す流れと世界の動きは、重なっている。
やはり、歴史の流れの必然には逆らえないのだろうか。
村山先生は21世紀を「戦争と天災、疫病の時代」と明言していた。
私たちは大変な時代を生きているのである。(2026年5月 東京・御茶ノ水にて)