天国と地獄
 

2025年10月24日更新

第268回  日本の切羽詰まった大問題――財政危機と環境問題

今年は世界中でいろいろなことが起きています。
まさに私が主張してきた日本の「40年サイクル」や、
戦後80年という節目にふさわしい大事件が立て続けに起きたと言えます。

まず、トランプ大統領が関税戦争をしかけました。
同盟国にも関税を課すやり方は、もはや従来の寛容なアメリカは姿を消したと言ってよいでしょう。
中東でもイスラエルがアメリカの言うことを聞かず、紛争が収まりません。
ここアジアでも中国が軍拡を続けており、北朝鮮も好戦的になってきています。
とりわけ中国経済は不況が深刻化していますから、
国民の不満を外に逸らすために台湾有事をしかけるかもしれません。

そこで今日は、私たちにとって最も大事な問題をお話ししたいと思います。
今、日本には二つの切羽詰まった問題があります。
一つ目は、私が以前から申し上げている、日本の「財政危機」です。
単年度の財政赤字はインフレを理由に改善していますが
(これも新政権の下で再び悪化する可能性が高いのですが)、
依然として政府の債務残高は大きすぎます。
これは、さらなるインフレの昂進を招くでしょう。
もう一つは地球環境の崩壊、「環境危機」です。
今回は二つ目の地球環境の危機について話をしたいと思います。

皆さんもお気付きの通り、今年の夏は各地で線状降水帯が多発しました。
連日のように日本全国のどこかしらで、短時間(1時間)で100ミリ以上の豪雨が起きていました。
まさに異常ですが、それが「当たり前」となっていることに私は恐怖を覚えます。
これは、取りも直さず地球の気温がどんどん上昇しているためです。
水蒸気が増え、雨の量が増えているのです。

半面、場所によっては土地がものすごく乾燥し、熱波が襲うことで山火事が頻発しています。
今まで、ここ日本は大規模な山火事とは無縁と思われていたのですが、
今年2月には三陸の大船渡で鎮火まで数ヵ月を要する大規模な森林火災が起き、
多くの家が燃えてしまいました。
私は、その現場に取材に行っています。現地は凄まじい状況でした。
その後も、各地で山火事が相次いでいます。
トルコやギリシャの山火事では、消防士が焼死するという惨事も発生しました。
一方では「大洪水」、一方では「山火事」と、両極端な事態が世界中で起きています。

東日本大震災でも壊滅的な火災の被害を受けた大船渡は、
今回の山火事でも大規模な被害を受けた

こうした気候変動と別に、地球の環境危機にはもう一つ重要な問題があります。
それこそ、「プラスチック問題」です。
私も不勉強でしたが、最近になってこのプラスチック問題についてきちんと調べるようになりました。
なんと、私も含めてこの地球上の生きる人の体内に、プラスチックがどんどん侵入しているのです。
今、この瞬間も、です。

「私はプラスチックを食べていないよ」と言うかもしれません。
しかし、ペットボトルやその他のプラスチックが細かく粉砕されることによって、
知らず知らずのうちに人間の体内に侵入していることがわかっているのです。

これは、目に見えない「ナノプラスチック」と呼ばれています。
顕微鏡でしか見えないほど小さいナノプラスチックが、
空気中や水中(海水にも淡水にも)、家畜や魚介類の中などに入ることで、
間接的にも直接的にも人体に侵入しているのです。
しかも、あまりに拡散されすぎてしまっているため、回収のしようがありません。
というより、今後も空気中や水中のナノプラスチックの量は、増えて行くことが確実視されています。
なんと恐ろしいことでしょう。

早稲田大学の教授たちが富士山頂(標高3700m)付近の上空を観測したところ、
大気中に無数のプラスチックがあることが判明しました。
もちろん、私たちが過ごす室内にもたくさん飛んでいます。
こうして、肺からどんどん体内に侵入しているのです。
しかも、肺に入ったナノプラスチックは排出がかなわず、蓄積してしまうのです。

加えて、食べ物や飲料水からもどんどん体内に侵入します。
最新の研究では、1週間でクレジットカード1枚分のプラスチックが体内に入ってくると言われています。
もちろん、口から入ったものはそれなりに排出されます。
しかし一部は残存し、血液に入り込むことで血栓のように固まってしまうというのです。

現代科学をもってしても、プラスチックが本当に体に悪いのか、
悪いとしてもどのくらい悪いのかは解明されていません。
一部の研究者たちによると、プラスチックは化学物質の中の毒性を吸収します。
毒性を吸収したプラスチックが体に入ったり、体内の毒物をプラスチックが吸収したりします。
下手をすると、癌やその他の重大な病気の原因にもなり得るのです。

従来は地球に存在しなかったものを人間が作り出し、
それが地球上に拡散されることで人間の体を汚染しているのです。
まさに、自業自得ですね。私は遠くない将来、この“報い”を人類が受けると思っています。

そんな中で、アメリカを中心に環境危機から意識が後退しています。
トランプ大統領は、気候変動を史上最大の「詐欺」だと切り捨てました。
「石油をどんどん掘って、プラスチックを生産しろ」と呼びかけています。
彼は、自身とアメリカの目先の利益しか考えていないのでしょう。
私にとってトランプ氏は、アメリカ合衆国の歴代大統領で最悪の部類に入ります。

すでに研究者たちの報告で判明していることは、地球上の25%の森林が無くなった場合、
取り返しがつかない状況になると言われています。
では、今すでに何%の森林が消失したのでしょうか。
以前に比べて、なんと40%も消失されたようです。森林に関しては、もう回復不可です。
気候変動も、あと3~4年でポイント・オブ・ノーリターンを過ぎます。
つまり、そこを過ぎたら何をやっても戻ってこられません。
以前の地球の姿を取り戻せないということです。

このほかにも、人類は今までに1万種類近くの化学物質を作り出してきました。
そして、そのうち約700~800種類を大量に使用しています。
それが、地球上に今も拡散し続けています。
こうなると、「複合汚染」が進行していると懸念せざるを得ません。
自然界に拡散された化学物質Aと化学物質Bがくっついたとき、どのような反応を起こすのか、
ほとんどわかっていません。良い方向に作用するはずはありませんね。

私たちが想像している以上に、地球環境は危機的と言えます。
ただし、これは私を含め今を生きている人類の責任なのです。
そこで私は、「B&G・プロジェクト」なるものを始めました。
「B」は海の「ブルー」、「G」は森林の「グリーン」です。
「もうこれ以上、地球を壊すことなく、次の世代に引き継ごう」という運動です。
詳しくはパンフレットをご覧いただければと思います。

「このままでは、次の世代に地球を残すことが出来ない。
 なんとかしなければ!」という気持ちで始めた
「B&G・プロジェクト」
 
 
 
12月6日(土)に東京(お茶の水)で説明会(無料)を開催します。
環境問題に興味のない人も、これを機会にぜひご参加ください。
現状を知ることから始めていただきたいのです。
ご参加いただける場合は、人数を事前に把握したいので必ず登録をしていただきたいです。
この地球のためにも、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
当日の模様は、オンラインでも視聴できます。
また「B&G・プロジェクト」のホームページでは、それ以外の活動も紹介しています。
お時間があるときにぜひご覧ください。
https://b-and-g.org/
現在、地球を取り囲んでいる危機について知り、
みんなで考えるための特別レクチャーを開催します
大船渡市の山火事は、
煙突から出た火の粉が原因ではないかと言われているが、
2月の降水量が平年の6%と過去最も少なかった時期に発生し、
発生当日は最大瞬間風速18.1mの強い北風が吹いていたため
延焼が拡大した。
私たちが出来ることは、何だったのだろうか?
            (2025年6月 岩手県大船渡市にて)