天国と地獄
 

2023年2月9日更新

第214回 「日本の危機」について<その4>

今回は、「日本の危機」について引き続きお話ししたいと思います。
前々号の年頭のご挨拶で、金利の話から始まり日本国破産が近づいている
という話をしましたが、今回は、さらに壮大な話をしたいと思っております。

というのも、私たちは普段まったく考えもしませんが、
実は私たちのこの数百年間の高度な文明というものは、
主にヨーロッパを中心とした近代科学合理主義に由来しています。
キリスト教の呪縛から解き放たれて、
資本主義と民主主義という自由平等、世界平和の名のもとに、
最終的には世界的な自由貿易経済を目指して日本も繫栄してきたわけです。
そうした意味では、西洋が作り上げた文明の上に日本も乗っていると言えるでしょう。

しかし、それが今、大きく揺さぶられています。
そもそも、よく考えてみてください。
ローマ帝国を含めて、すべての文明というものは実は廃墟になっています。
すべて、滅んでいるのです。
ですから、現在私たちが生きているこの文明もいつかはなくなる、
あるいは滅びてしまうのです。
実に恐るべき、「文明の法則」というものがあるのです。
今回から数回に亘り、それをじっくり語っていきたいと思います。

まず、今私たちが生きている21世紀初頭は、
「激動の時代」というよりは多くのものが崩れて行く「大変動の時代」と言ってよいと思います。
というのも、まず89~93年頃にかけてソ連が崩壊した時、
アメリカは世界で唯一の超大国になり、
ソ連の核兵器もなくなって世界は平和になり、
自由貿易体制が世界中で広まり、社会主義、共産主義そのものが
なくなるのではないかと言われていました。

ところが今や、共産主義というか一党独裁の中国、そしてロシアが世界を揺さぶっています。
これを一体、どう考えたらよいのでしょうか。
先ほど言った「文明」という観点から考えた時に、
私が以前お会いした村山節先生という方が見つけた「800年周期説」というものを見ると、
実は今までの動きが、全部腑に落ちるのです。
そこで、1990年から今までの日本を中心に世界がどう動いてきたのか、
激動の歴史を振り返って行きたいと思います。

まず、日本にとって非常に大きな出来事というのは、
1990年の「バブル崩壊」です。これ以降、日本は30年間低迷したわけですが、
翌年には「湾岸戦争」、そして95年には世界を驚愕させた
「阪神淡路大震災」と「地下鉄サリン事件」、2年後の97年には「金融恐慌」に襲われました。
山一、拓銀、日債銀、そして生命保険会社数社がどんどん潰れて行き、
97年11月には多くの銀行には長蛇の列ができ(報じられなかった事実もたくさんあります)、
取り付け騒ぎが起こるという大変な状況に陥りました。

そして世界ではその後、1999~2000年に「ITバブル」が起こって崩壊しています。
翌年2001年は、さらに重要な年となりました。
なぜ2001年が重要かというと、この年は21世紀最初の年であるとともに、
旅客機二機が貿易センタービルに突っ込むという、
あの忘れもしない「ニューヨーク同時多発テロ事件」が起きたのです。
この事件から、世界はまったく変わってしまいました。

その後、2004年には「インド洋大津波」が起き、
ITバブル崩壊後の金融緩和もあって、
2006年にはバブル的な様相が世界的に見られました。
そしてそれが崩れ、アメリカの住宅不況から始まったのですが、
「リーマン・ショック」(100年に一度の金融危機)が起こり、
世界の資本主義が終わってしまうかのような時代がきたわけです。

その3年後に、日本は「東日本大震災」という未曾有の大災害に見舞われました。
地震だけで済めばよかったのですが、
地震によって起きた30m級の大津波のために「福島第一原発」で
チェルノブイリ原発事故に匹敵するくらいの大事故が起きてしまったのです。
当時の首相だった民主党の菅直人氏が、後にこう述べていました
――「もう少し事故が進んでいたら(次の大爆発が起きていたら)、
関東地方に人は住めなくなっていた」と。
3000~4000万の人が西に向かって逃げざるを得なかったという、
そのくらいの大惨事が起きたわけです。
ですから、本当に運が良かったとしか言いようがありません。

そしてその後、日本はいよいよ「アベノミクス」が実行されて、
借金がどんどん増えてしまいます。
そして、忘れもしない2020年の2月-3月、
中国から始まった「新型コロナウイルス」の感染拡大で、
その後の3年間はとんでもない目に遭いました。
いまなお、その影響から全面的には回復できていません。
そして世界中の中央銀行がお金をばらまく中、
2022年の2月にはロシアによる「ウクライナ侵攻」が始まりました。

これだけ列挙しただけでも、「激動の時代」だと言えます。
いや、世の中の根底から覆るような「大変動の時代」と言ってよいと思います。
今後、起こり得ることとして、中国の習近平が狙っている台湾をめぐる「台湾有事」、
そして日本近海では「東南海地震」とそれが引き起こす大津波、
そしてそれらをきっかけに「日本の財政破綻」が起こるのではないかということです。

ただ、それらを日本がうまく利用してチャンスととらえ、
革命的な大変革を起こすことができれば、
次の40年に向けて日本は立ち直れると思っています。
いずれにせよ、列挙しただけでもどのくらい大変な時代かがわかると思います。

実はその根底に、先ほど申し上げた村山節という、
残念ながらあまり日本でも知られていない人物が発見した、
「800年周期」説があると言ってよいと私は思うのです。

<以下、次号に続く>

私たちは激動の時代、いや大変動の時代を生きている。
これから私たちの身に降りかかることは、誰もが無傷ではいられない。
だが、怖がっていてもしょうがないので、ピンチをチャンスととらえ、
できるだけ備えて乗り越えて行きたいものだ。
(2022年12月 誕生日に頂いた金色の卵に喜ぶ浅井)