天国と地獄
 

2020年3月16日更新

第123回 健康を求めて(最終回)

 

皆さんは「培養上清(ばいようじょうせい)」という言葉をご存知でしょうか?
おそらく、何のことかわからない人がほとんどでしょう。
再生医療に関わる話ですが、医者でさえも知らない人が結構いると思います。
実は、培養上清とは今、私が最も注目しているもので、
それはあるものを培養した時にできる上澄液(上清液)なのですが、
それがすごく体に良いと言われているのです。

それは、去年(2019年)の5月に放映された「NHKスペシャル」から始まりました。
札幌医科大学で行われているある特殊な試みが、健康オタクの私から見て
「本当に、これこそが知りたかったんだ!」という、
腰が抜けるほど驚くような内容だったのです。
番組のタイトルは「寝たきりからの復活 ~密着!驚異の『再生医療』~」です。
札幌医科大学で脊髄損傷の患者の8割の症状が、ある治療で改善されたという話でした。
脊髄損傷の患者とは、たとえば、工事関係者が高いところから落ちてしまったり、
車に乗っていて後ろからダンプに追突されたりして
脊髄(首、あるいはその下の脊髄)を損傷してしまい、
ひどい人では首から下が一切動かず、内臓と頭だけは動いている、という状態の人です。
そういった患者は、今までは日本の最高峰の施設でリハビリを受けても
せいぜい指が2~3㎝動く程度の回復で、あとは全くそのまま動かないことがほとんどだったのです。
それがなんと、あることをやったことで8割の脊髄損傷の重篤な患者の症状が改善し、
中には運転したり、走ったりできるようにまでなった人もいる、そういう例が出てきたのです。

では、一体何をしたのか?
それが、このあと解説する培養上清に関係する「幹細胞」というものの点滴なのです。
幹細胞と突然言われてもよくわからないかもしれませんが、
ノーベル賞をとった山中教授がやっているⅰPS細胞といえばわかるのではないでしょうか?
ⅰPS細胞とは、幹細胞を使って心臓や目などの臓器を作る研究です。
幹細胞とは、私たちの生命の根幹に係わるものです。
私たち全ての人間は、最初お母さんのお腹の中にある卵子と
お父さんの精子が受精して一つの細胞になり、
それが分裂して徐々に10ヵ月の間に単細胞のウイルスのようなものから生命へと進化していきます。
たった10ヵ月でお腹の中でそれをやってしまうわけですが、
最初はたった一つの受精卵から分化して200種類・37兆個もの細胞になるのです。
しかし、中には役割がまだ決まっていない細胞もあります。
「未分化細胞」とも呼ばれますが、逆に言うとどんな役割の細胞にもなれるのです。
それが幹細胞です。
「幹」とは言葉どおり、大本の幹という意味です。
ですから、その幹細胞というものは何にでもなり得ます。
目の細胞にもなりますし、脳にも心臓にもなります。
そして、ここがポイントで、どんな人にも幹細胞はありますが、
赤ちゃんの時は大量にあり、それがどんどん減って行ってしまいます。
そして、最後にはほとんどなくなって死んでしまいます。

さて、脊髄損傷で全く動けなかった人がなぜ歩けるくらいまで回復したのか、
走れるくらいまで回復したのでしょうか?
実は、札幌医科大学では背骨の後ろから抜いた髄液を使って、
その中にある本人の幹細胞を培養して、点滴で戻したのです。
この行為で、驚く程の改善が見られたわけです。
幹細胞は、点滴して戻すと自動的に悪い部分を探しに行くといいます。
膝が悪い人は膝に行き、脳に障害(認知症など)があったら脳に行くといった具合です。
そして、札幌医科大学でやっていた治療のすごさは、
最初は症状を緩和するだけですが第一段階、第二段階、第三段階があり、
第二段階では状態をかなり改善し、第三段階ではなんと損傷した脊髄に
新しく自分で神経を作ってしまうのです。それで治っていくわけです。
幹細胞というのは、それくらいすごい能力があるようです。

私もこの間、あるクリニックでそれを実践しました。
お腹のおへそのちょっと下の脂肪を採取して、そこから幹細胞を培養して戻しました。
ただ、幹細胞治療自体はやろうと思うと400~500万円かかります。
普通のサラリーマンにはちょっと手が出ませんね。
そこで、それよりはるかに安い方法が「培養上清」なのです。

培養上清とは、幹細胞を培養している時にできる「培養液の上澄み」で、それを点滴などで投与するのです。
日本で前述の幹細胞の点滴をするには、本人のものでなければいけないのですが、
培養上清は細胞ではないため、他人のものでも認められています。
一番良いとされているのは、若い6歳くらいの子供の歯髄です。
歯髄に入っている幹細胞を培養した時にできた培養上清を点滴します。
点滴自体は、大体15分ぐらいで簡単に終わります。
もちろん、これはどこの病院やクリニックでも受けられるというわけではありません。
そのような治療をやっている特殊なクリニックに行く必要があります。
もし、ご興味のある方は第二海援隊にお問い合わせ下されば、
良いクリニック(それほど高くなく、安全性も高いところ)をご紹介できます。

いよいよ人類は、夢の治療法を手に入れ始めています。
今から2000年以上前の昔、秦の始皇帝(中国を初めて統一した皇帝)は、
権力を握った後、だんだん体力が衰えて行き、それほど遠くない将来自分は死ぬと思った時、
不老長寿の薬を探させるために中国全土や日本にまで使節団を送ったと言われています。
しかし、結局それを探すことができず、途中で死んでしまいます。
もし、秦の始皇帝に幹細胞の技術や培養上清の方法を伝えたら、莫大な褒美をくれたかもしれません。
たくさんの国を統治していましたから、国1つくらいまるごと与えられて、
そこの王様(女王様)になって贅沢三昧、美女(美男)を1,000人くらい侍らせて、
夢のような生活を与えられたかもしれない、それくらい画期的な手段と言えるかもしれません。

培養上清は30万円くらいでできますので、
一般サラリーマンでも年1回くらいならできるのではないかと思います。
とても可能性を感じる、面白いものだと思っています。

培養上清液を点滴中。
このように上清液は
15分ほどで気軽に点滴することができて、
身体の悪いところの回復を感じられる。
強く実感する人と
あまり実感がない人がいるが、
回数を重ねると
その実感は高まる人が多いと言う。
(2019年10月 東京・赤坂にて)