天国と地獄
 

2017年12月25日更新

第43回 あえて厳しい話をクリスマスに

 

今年も早いもので、もうクリスマスの時期がやってきました。
本当に世の中の変化が速いことに驚かされます。
というのも、今年は北朝鮮の核ミサイル問題で日本中が大騒ぎでしたが、
オバマ大統領が広島に来て、将来的には核兵器をなくしたいと言っていたのは去年の秋、
たった1年前のことなのです。
それからわずか数ヵ月後にはトランプ大統領が就任し、
北朝鮮がミサイルを次々と発射して、
日本はいつ核ミサイルに攻撃されるのかわからないという恐怖にさらされました。
心配になった一部の人々は、自宅に核シェルターを作ることも考えはじめた、
その様なニュースが新聞やテレビで報道される時代になりました。

 

真夏にクリスマスを迎えるニュージーランドの
雑踏の中で日本のことを考える浅井隆。

ここ数年、アジアからの移民が急増し、
街にも多くのアジア人が行き交う。

(ニュージーランド・オークランドにて
 2017年12月)

今年を振り返ると、2つの大きな話題があったと言えます。
1つは今述べました北朝鮮の核ミサイル問題、
2つ目は秋の総選挙です。
この2つの出来事が、今後の日本にとって大変重大な問題を投げかけていると思います。
と言いますのも、北朝鮮問題というのは
もし、クーデターか何かで政情が激変してアメリカと北朝鮮が急に手をつなぎ
一時的に問題が解決したとしても、その後には“中国”という大きな問題が控えているからです。

尖閣諸島問題がありましたが、
中国は今の習近平体制のもとで強力な共産党の国家権力を基盤に
アメリカを凌ぐ世界覇権大国になろうとしているのは目に見えています。
しかも遠い将来、広い太平洋をアメリカと中国の2国で管理すると言っています。
ハワイでアメリカと二分し、ハワイから東はアメリカが、
ハワイから西は中国が管理するという意味です。
ということは、日本は中国に飲み込まれてしまうわけです。
私たちはアメリカの核の傘の下、戦後さまざまなことを享受してきました。
日米安保条約に基づき、
日本は沖縄での婦女暴行事件やオスプレイの墜落事故などの問題にも目をつぶり、
アメリカ軍に多少のお金を払いながらも経済発展を優先し、
これまでアメリカと良好な関係を築いてきました。
しかし、北朝鮮問題および中国の長期的な覇権大国への野望を含め、
今後アメリカが徐々に衰退していくのは間違いないことです。

数年単位で見るとわかりませんが、
10年、20年、30年あるいは50年、100年という時間でとらえて
私たちの子孫のことを考えると“この国の防衛をどうすべきか?”
“私たちの国を一体誰が守るのか?”ということを真剣に考える時期に来ていると思います。
そこで、皆さんは「えっ?」と思われるかもしれませんが、
今、私は信じられないようなタイトルの本を出そうと考えています。

それは「徴兵・核武装論」という本です。
ちょっとショッキングかもしれませんね。
実のところ、私は徴兵をした方が良いとか、核武装をした方が良いとは思ってはいません。
しかし、こういうショッキングなタイトルの本を出して、
幕末に日本を太平の眠りから目覚めさせた黒船と同じように、
日本に大きな衝撃を与えたいと考えているのです。
なぜかというと、ほとんどの国民は国の問題に関して他人事だからです。
特に若い人は、自分の就職のこと、食べ物のこと、
彼氏彼女のことくらいにしか興味がないように見えます。
目の前のスマートフォンの中のゲームやメールやチャットには興味があるのでしょうが
“この国の将来をどうするのか?”
という問題についてほとんどの若者は議論をしません。
私は世界各国を訪れていますが、
欧米諸国を見渡してもこういう国は他にありません。
選挙の投票率も低いです。
国民の1割~2割でいいですから、
そろそろこの国の防衛をどうするかということについて、
本気で考えて欲しいのです。

たとえば、もし、中国が攻めてきて日本を占領しようとしたらどうしますか?
自衛隊員も半数が逃げてしまって、日本国内でいろいろな問題が起きているとしたら……
私は63歳でもう若い時のように走れませんが、
それでも義勇軍、レジスタンス(抵抗軍)を作って
その一指揮官として死ぬまで戦うつもりです。
もちろん、私自身も銃を取ろうと思っています。
他の国を侵略しようとは決して思いませんが、
自分の国が攻められて無茶苦茶なことをされた時に無抵抗なまま死んで行く、
何もできずに言いなりになるようなことは、私にとって絶対にあり得ません。

私はそういう人間ですし、“自分の国は自分で守る”というのは当たり前のことだと思っています。
スイスなどでは、徴兵制どころか皆兵制です(第36回コラム参照)。国民全員が兵隊になるのです。
核シェルターも100%どころか観光客の分まで含めて国の人口の120%分を備えていると言われています。
スイスでは、国民が若い時に誰もが1年か2年徴兵に行き、
その時に預かった銃を各家庭に常備するのです。
それで1年に1回、射撃訓練を受けます。
スイスは永世中立国で絶対に他国を攻めませんが、
万が一攻め込まれた時には、全員が家庭にある銃を取って自国の為に戦います。
そういう気概も含めて、すごい国だと思います。

ヨーロッパは地続きですから、
自分の国が他国に侵略されてなくなってしまうことも当たり前に起こります。
ましてや、国が発行している紙の紙幣など、
国がなくなったり破産すればいつでも紙キレになってしまう。
そういう経験を何度もしてきています。
ですから、そういう環境に居住しているヨーロッパの国民と、
島国でほとんど他民族の侵略にあうことなく安穏と暮らして来た日本の私たちとは、
身についた考え方が全く違うのです。

けれども、核ミサイルとなるとそうはいきません。
10分程でミサイルは空から飛んで来ます。“あっ”と言う間に生活が破壊されるのです。
そういう時代に私たちはいるのです。
ですから、“どうやってこの国を守るのか”
──これをそろそろ真剣に考える時期であると言えるでしょう。
私はできたら来年、「徴兵・核武装論」という本を出版して、
皆で議論をするためにも一石を投じてみたいと思っています。

もう一つの話題に移りますが、
先日行なわれた総選挙には本当にがっかりしました。
“この国は何も変わらないのだな”と思いました。
「希望の党」の小池代表の失策もあったのですが、
結局今は一時的に景気が良いために自民党のアベノミクスが評価されて目くらましにあい、
だまされてしまったなと感じています。
そして、しょせん我々日本人はその程度の国民なのかとがっかりしました。
このままアベノミクスを続けて行けば、この国の財政が破綻するのは間違いないでしょう。
その時、誰が責任を取るのでしょうか。

というわけで、クリスマスに厳しい話になってしまいましたが、
来年を明るく迎えるために見過すことのできない問題として、あえて厳しいことを申しました。

 

ニュージーランド南島、
クィーンズタウン近くの山の中腹に
ヘリコプターで着陸。

後ろは有名な「ワカティプ湖」
2~3日前雪が降ったため、山々は白銀の世界。

(ニュージーランドにて 2017年11月)

今年がこのまま無事に終わることを願い、
皆さんの来年が素晴らしい年でありますよう、お祈りしています。

浅井隆